弘文印刷株式会社
創業から74年 地域に根ざす印刷会社として
高知の暮らしを育み 創り上げてきた
昭和25年8月、高知城下に創業した弘文印刷株式会社。官公庁の印刷物を手掛けるところからスタートし、定期刊行物や広報誌から日本酒のラベルや包装紙など商業印刷まで幅広く、高知の紙ものを作り続ける。
私たちは印刷物と共に暮らし、過ごしている。その一方で、どのように出版・印刷されるかは意外と分かっていないのではないだろうか。
弘文印刷では、主に4部署に分かれて業務を行う。「事務・営業部」では、顧客に寄り添って高品質な製品を届けるために受注から納品までの工程管理を行う。印刷物だけではなく、地域発展のサポートとして、kochi ebooksという電子書籍サービスも行っている。「制作部」では、書籍やパンフレットを幅広くデザイン。要望に合わせたオリジナルイラストの制作も可能だ。「印刷部」では、高品質の印刷物を届けるために、世界的にも評価の高いハイデルベルグ社製の印刷機を導入。インキの色を一定にするためには職人技が必要となるため、高い技術が求められる要の部署だ。そして「仕上げ部」では、中綴じ・手巻き・無線綴じなど各種製本方法、折り・断裁・Setのりなど各種加工を行う。使用する紙や用途に応じて異なる仕上げを美しく素早く行い、検品・梱包までを担当する。
弘文印刷は主となる印刷のほかにも事業範囲を広げる。出版・印刷は厳しい状況であるが、弘文印刷では2017年にジャパンイーブックスネットワークに加盟。自治体印刷物の電子書籍化やオリジナルコンテンツの企画編集などを行ってきた。2017年は電子書籍・雑誌の市場規模が2500億円を突破した頃で、タブレット端末の普及もあり「これから」という時代だ。市場を見極め取り組んだ結果、現在では、印刷物をネットでも届けることができるようになっている。
「高知家」健康企業宣言認定や高知県ワークライフバランス推進企業認証なども取得し、仕事もプライベートも健康的に行えるようにしている。さらに弘文印刷で特徴的なのは脱炭素環境事業だ。代表取締役社長が高知県小水力協議会の理事長でもあり、高知の豊かな水資源を小水力発電に活用しようと取り組んでいる。
川が身近にある高知ならではの仕組みでもあり、蓄電しておくことで災害時にも対応でき、山間部の集落の電気を賄うことができるそうだ。県内企業からの発注がほとんどを占め、長い付き合いから紹介の輪が広がる。それも、職人による高品質の印刷ときめ細やかで「痒い所に手が届く」ような営業力あってこそ。
一般商業印刷とは、情報発信の手段のひとつ。テレビやラジオ、インターネット、SNSと発信手段が広がる中、弘文印刷では、デジタルと紙のハイブリッドで質の高い情報発信を続ける。地域になくてはならない会社として、高知の未来を形作っていく。