東陽特紙 株式会社

手漉き和紙をルーツに、独自の技術開発で社会のニーズに対応
介護現場で生きる力をサポートし、社員の夢の実現の両立も目指す
仁淀川にほど近い場所で、衛生材料紙の製造を行ってきた東陽特紙(株)。現在では大人用紙おむつの製造において、確固たる地位にある同社は、これからの超高齢化社会に向けて、さらなる人材の充実を図っている。

現在進行形で進みつつある高齢化社会。近い将来には確実に超高齢化時代を迎え、お年寄りの介護や治療の現場での、より清潔で快適なケア用品へのニーズは非常に高い。特に排泄におけるケアは、介護する側もされる側も大きな負担がかかる。同社が製造する主力商品の大人用紙おむつ「マーヤ」は、そんな現場の声を取り入れることで、介護施設や病院等で強い支持を得ている。快適な日常生活を一生に渡って維持するためにも、紙おむつの需要はこれからますます高まることが予想される。
同社のルーツは江戸時代の手漉き和紙。その時代を経て1965(昭和40)年から生理用紙ナプキンや紙おむつ・ペットシーツ等の材料紙の製造を手がけてきた。その蓄積されたノウハウと技術力が高く評価され、現在では大手メーカーのOEMも行っている。同社にとっての商品の安定供給は、介護を受ける人たちの日々の生活に直結するため、最も重要な使命。そのため安定した量産体制を強化するべく、製造現場での幅広い人材の確保が急務だ。
「努力する社員には、実際に夢を実現できる会社でありたい」と指針を語る代表取締役社長の森木穂高さん。その一例が、夏と冬のボーナス以外に支給される特別功労金制度。目標を達成した社員には、功労金が現金で手渡され、社員の意欲を刺激し、努力を評価する仕組みになっている。
またパート採用の社員を評価し、正社員として採用した例も多い。同社員は「子供の急な病気でも、休みを取らせてもらえて助かっています。居心地の良さもこの会社の良いところです」とその環境の良さも語る。「社長は社員に対していつも『見える化』して、ガラス張りでいたいと思っています」と森木さんは続ける。それは社員同士のコミュニケーションにも共通し、「分からないことがあれば、相談にのってもらえる風通しの良さがある」と社員は口を揃える。育児休暇後の復帰や離職率の低さからも、それを窺い知ることができる。
製造現場では6人1チームのチーム制を導入し、チームで業務に当たる。「人は一人では何もできません。自分の仕事を熟知し、他人の仕事をどれだけ補佐できるかが評価の基準です」と森木さん。お互いの意思疎通や連携、報告・連絡・相談がここでも重要になってくる。実際製造現場では、不注意が思わぬ怪我に繋がることもある。それだけにコミュニケーションは不可欠だ。
その一方で「機械の知識がなくても、教育体制がしっかりしているから大丈夫」とあるチームリーダーは胸を張る。日頃の指導はもちろん、過去の事例に基づいた月一回の安全教育指導で、スキルと意識向上に努めている。「私たちは登山隊と同じチーム。今まで以上に高みを目指すために、皆でスキルを磨く努力を続けていきたい」と抱負を語る森木さん。同社の若者に対する期待は大きい。