三昭紙業株式会社
自社製品を手にする入社2年目のルーキーたち。西森光太さん(右)、福井美咲さん(中)、西田祐斗さん(左)。通常の業務時は帽子とマスクを着用して、クリーンな環境に注意を払う。
土佐和紙の技を取り入れた高性能不織布を通して全国へ美と快適を届ける商品づくりに取り組む会社。
ドラッグストアなどで、よく目にするウエットティシュやフェイスマスクなど、大手メーカーの依頼を受けて、世に送り出している三昭紙業。同社が生み出す製品は、すでに私たちの生活に不可欠なアイテムになっている。
その美しさから「仁淀ブルー」の異名を持つ清流仁淀川が、太平洋へと注ぎ込む土佐市。三昭紙業があるこの町は、仁淀川の清浄な水を利用して、古くから和紙作りが盛んだった。同社は土佐和紙の伝統技術を受け継ぐ不織布の加工メーカーとして、自社製品はもちろん、大手化粧品会社からの依頼を受けた製品を生み出している。
安心安全で使いやすいものづくりが創業以来の三昭紙業の強みだ。同社が扱う不織布は、手漉き和紙の要領で、仁淀川の伏流水を使い、繊維を絡み合わせて布状にしたもの。使用する繊維の大半は生分解性のある天然由来の素材であり、環境に配慮したサスティナブルなものとなっている。天然繊維の高い保水力と長繊維の強度を併せ持つ高品質な製品の数々は、全国の各業界から注目を浴びてきた。
中でも化粧品分野では、有名メーカーが美肌用フェイスマスクやクレンジングシートとして採用するなど、高品質な素材と同社の高い技術力は、有名メーカーのブランド名で生産を委託されるほどの信頼を獲得している。委託製造されたこれらの製品は、全国のドラッグストアなどの量販店に並び、その販売網は海外にまで及んでいる。同社のショールームには、一度は目にしたことがあるであろうこれらの製品が数多く並んでいる。
また、2020年以降のコロナ禍においては、除菌・消毒機能を持つ衛生関連商品を次々と開発し、今でも高知県内で多くの公共施設や店舗で使用され、人々の安全を守っている。アフターコロナを迎え、新たな市場に向けた新商品の開発に取り組むと同時にSNS等を利用した新たな情報発信にも力を入れている。
そんなこれからの三昭紙業で働くルーキーたちも、それぞれの所属する部署で担当業務に精を出している。昨年入社した西森さん、福井さん、西田さんは不織布に加工を施し、付加価値を高める同社の革新部門「製造部」に所属。介護用品を製造するラインで機械オペレーターを担当する 西森さんは「機械の調整は、製品の品質に直結する部分。機械の調子を見て、ビシッと調整ができるようスキルを高めていきたい」と意気込みを語る。「絶対にミスを起こさないよう、チーム全体で細心の注意を払っています」 と話すのは、マスクのラインで検品作業を担当する福井さん。検品は製造における最後の工程。流れてくる商品一つ一つを、繊細な手作業でチェックするスタッフ達が支えている。一方、化粧水(OEM製品)における薬剤等の調合を担当する西田さん。「調合は手順に沿って、デリケートな作業が求められる業務ですが、ドラッグストアなどで自分が調合した製品が並んでいると、ものづくりに関わっていることを、改めて実感します」と話してくれた。
同社の製造部門では機械による自動化が進んでいるものの、一部の製造工程や調合、品質管理には、やはり人の目や手が必要になってくる。自らがたずさわった製品を手にすれば「全国の人たちの快適な生活に貢献している」という自負を胸に仕事に取り組めるはずだ。ほかにも同社では、研究部門や営業部門の人材も募集している。高知が生んだ高い技術を、日本全国へ発信する担い手としての活躍が期待されている。