三昭紙業株式会社

土佐和紙の技を取り入れた高性能不織布を通して、
全国へ美と快適を届ける商品づくりに取り組む会社。
ドラッグストアなどで、よく目にするウェットティッシュやフェイスマスクなど、大手メーカーの依頼を受けて、世に送り出している三昭紙業。
同社が生み出す製品は、すでに私たちの生活に不可欠なアイテムになっている。
その美しさから「仁淀ブルー」との異名を持つ清流仁淀川が、太平洋へと注ぎ込む土佐市。三昭紙業があるこのまちは、仁淀川の清浄な水を利用して、古くから和紙作りが盛んだった。同社は土佐和紙の伝統技術を受け継ぐ不織布の加工メーカーとして、自社製品はもちろん、大手化粧品会社からの依頼を受けた製品を生み出している。

同社が扱う不織布は、手漉き和紙の要領で、繊維をそのまま絡み合わせて布状にしたもの。天然繊維の高い保水力と長繊維の強度を併せ持つ品質の良さから、全国の各業界から注目を浴びてきた。なかでも大手化粧品会社は、美肌用フェイスマスクやウェットティッシュとして採用している。高い品質と技術で、大手化粧品会社のブランド名で生産を任されるOEMを行うほど、信頼を獲得しているのだ。
「全国のコンビニやドラッグストアにはもちろんアジアでも我が社で作ったOEM商品が並んでいるのは、実はすごいことなのです」と胸を張るのは取締役品質保証製造統括の佐々木丈明さん。同社のショールームを見学すれば、そこに並ぶ商品が、いずれも一度は目にしたことがある有名メーカーのアイテムの多さに驚くはずだ。「女性の美しさに貢献できるのは、うれしいことですね」と笑顔で語る佐々木さん。
美容分野だけなく、ここ数年で成長してきているのが医療・福祉分野の製品。「大人用ぬれタオル」「大人用おしりふき」などの使い捨て不織布タオルは、感染症予防や効率性を高めることから、現場で非常に重宝されている。高齢化が進む現代において、この分野は今後ますます需要が高まることから、同社では新製品の研究・開発に余念がない。
そんなこれからの三昭紙業を担う若者たちも、日々工場内で汗を流す。なかでも不織布に加工を施し、付加価値を高める製造部は核心部門。製造部といえば力仕事のイメージもあるが、同社では繊細な作業もあるため、多くの女性が活躍している。「商品に破れなどがないか、検品や計数は、正確さとスピードが要求されます」と語るのは同部で働く中山和音さん(入社2年目)。気が抜けない作業が続くものの「面白い先輩が多いので、時には笑い声も響きます」と現場の雰囲気の良さを語る。「リズム感を競うゲームが好きだったので、この仕事は性に合ってます」と笑うのは秦泉寺朱里さん(入社2年目)。二人が声を揃えて口にするのが「明るく笑顔が絶えない職場」。佐々木さんも「彼女たちはムードメーカーです」と二人を高く評価する。

同社の製造部門では機械による自動化が進んでいるものの、一部の製造工程や調合、品質管理には、やはり人の目や手が必要になってくる。自らがたずさわった製品を手にすれば「全国の人たちの快適な生活に貢献している」という自負を胸に仕事に取り組めるはずだ。ほかにも同社では、研究部門や営業部門の人材も募集してる。高知が生んだ高い技術を、日本全国へ発信する担い手としての活躍が期待されている。